2018.12.19

シューベルト作品90




10年ちかく前、ある試験でシューベルトの即興曲 作品90の2 を弾いたときの、審査員でいらしたある大御所の先生のコメントは
「積極性あふれる表現の持ち主であることがわかりました」
というような内容で
また別の審査員の先生、著名な演奏家の、のコメントは
「デリケートな作品です。もっと繊細に表現してください」
というようなものでした‥、思い出すたび苦笑します。

猪突猛進みたいということだと思うのだけれど、たしかにわたしはこの作品の熱いような劇的なような面にとても惹かれていました。
でも思うように語れなかった。この曲はわたしにはずっと、聴いていただいて、すてきな曲! と思ってもらったり、ワッと湧いてもらうことの難しい曲でした。

今年は、作品90の即興曲と出会い直した年でした。

トンネルのなか試行錯誤し、少しずつかたちを作っていき(この過程はいつも彫塑のようだと感じる)、発見し‥、音楽に素手でさわっていると感じられるときも出てきて、いくつかの本番で手ごたえを感じることができました。これもつかの間のことかもしれませんが‥。

この、作るということ、自身でどちらを向くのか決めるということ、変えられるということ、そして音楽のもつ根源的なもの‥、はいつもわたしに力をくれます。




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